ステラリフトの鍵

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SF
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第四章:銀河の裂け目の真実

シンイチとミユは、診療所を出て夜のニュートラルゾーンを駆け抜けた。人工の月光が路地裏を照らす中、彼らは安全な隠れ家を探していた。シンイチは、かつての仲間であり、違法な情報ネットワークを扱う技術者に助けを求めることを決めた。 その仲間、ユウキは、廃棄された宇宙船の内部に秘密の作業場を構えていた。ユウキは元軍事エンジニアで、戦争中に違法な武器開発に関与していた過去を持つ。罪を償うために地下ネットワークで活動し始め、今では情報と技術を駆使して、弱者を支援する立場にいる。ユウキはシンイチとミユの姿を見るなり、驚いた表情を見せた。「これはまた、大きな問題を抱えてきたな。」 ミユの体内にあるナノマシンについての話を聞くと、ユウキは眉をひそめた。「その技術は、ただの異星の産物じゃない。これはステラリフトと呼ばれる現象に関係しているかもしれない。」 「ステラリフト?」シンイチが聞き返すと、ユウキは古びたモニターにデータを映し出した。そこには宇宙の裂け目を示す映像が映し出されていた。 「ステラリフトは、宇宙空間に存在する次元の裂け目だと言われている。その存在が初めて確認されたのは、宇宙探査船アステリア号による観測ミッション中だった。探査船は近辺で異常な重力波を検知し、調査の結果、この裂け目が次元間エネルギーの流れを引き起こしていることを発見した。このナノマシンがその起点となる可能性がある。」 ユウキの言葉にシンイチとミユは驚愕した。ナノマシンがもたらすのは単なる科学技術の進歩ではなく、宇宙規模の危機だったのだ。 その時、隠れ家の外から微かな金属がこすれる音が聞こえた。それは規則正しく、だがどこか不気味なリズムを刻んでいた。続いて、足元を踏みしめる重いブーツの音が近づき、何かを引きずる鈍い音が混ざった。シンイチたちは息をひそめ、武器を手に取った。彼らが目にしたのは、再び迫り来るエージェントたちの姿だった。 「ここも見つかったか……。」シンイチは覚悟を決め、ミユとユウキを守るために戦うことを決意した。


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