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SFステラリフトのエネルギーが一瞬静まり、周囲の空間が異様な静寂に包まれた。しかしその直後、リフトから新たな現象が現れた。空間が裂け、そこから別次元の存在が姿を現した。 その存在は、言葉では表現できない形状を持ち、圧倒的な威圧感で彼らを包み込んだ。「これが…宇宙の真実か。」ユウキが震える声で呟いた。 その存在は、人類がこれまで知ることのなかった次元間の意識体だった。その形状は常に変化し、時には巨大な波のように空間を飲み込み、また時には微細な光の粒として収束した。視界の中でその存在を見るだけで圧迫感が押し寄せ、耳には低い振動音が響き渡る。彼らはミユを媒介にしてこの宇宙を観察し、その未来を選択しようとしていた。 「選ばせてもらおう。」その存在は直接的な言葉ではなく、感覚を通じて意思を伝えた。「この力を解放し、新たな可能性を切り開くか、それともこの力を封印し、現状を保つか。」 シンイチ、ミユ、ユウキの三人はそれぞれの立場から考えた。解放すれば未知の未来が待っているが、それは破壊と再生の可能性を伴う。一方、封印すれば、今の宇宙は安定を保つが、変化の可能性を失う。 「選択するのはお前たちだ。」その存在が消える直前、ミユが一歩前に出た。「私は、この力を封印する。」その言葉に至るまで、ミユの心は揺れ続けていた。力を解放すれば、未知の未来が待つが、その代償がどれほど大きいのかを彼女は恐れていた。しかし、封印することで守られる多くの生命と宇宙の安定が、彼女の決断を後押しした。彼女の言葉にシンイチとユウキは驚いたが、その目に宿る強い決意と深い覚悟に圧倒された。 ミユがナノマシンを用いてリフトのエネルギーを封印すると、空間は徐々に収束していった。異次元の存在もまた、静かにその場から消えていった。 すべてが終わった後、シンイチたちはステラリフトの跡地に立ち尽くしていた。「これで良かったのか?」ユウキが呟いた。 「分からない。」シンイチが答える。「だが、彼女の選択を信じよう。」 ミユは静かに笑みを浮かべた。「ありがとう、二人とも。」その言葉とともに、彼女は静かに気を失った。 物語の結末は、新たな始まりを暗示していた。宇宙の運命を左右する選択を経た彼らは、それぞれの新たな道を歩み始める。ステラリフトの余波によって生じた謎のエネルギー現象が、宇宙の各地で微かに観測され始めていた。それは、新たな冒険と試練の訪れを予感させるものであった。 物語 完