星屑の調律者

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SF
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最終章: 星屑の調律

戦闘が激化する中、アツシは初めて自分の中に眠る力を感じ取ることになった。それはまるで、深海の底に沈んでいた光が徐々に表層へと浮かび上がるような感覚だった。ノクターン号のシステムと調和するように、彼の手が武器コンソールを操作すると、船が信じられない精度で動き出した。 「アツシ…!」 ナナの声が緊張の中にも喜びを含んで響いた。彼女は直感的に理解していた――アツシの力が目覚め始めている。 しかし敵は強大だった。暗黒の星の艦隊は数で圧倒し、ノクターン号を包囲しようとしていた。アツシの目が鋭く光を放つ。 「ここで終わらせるわけにはいかない。」アツシの声は低く、しかし確かな決意に満ちていた。その瞬間、彼の中で何かが弾け、忘れられていた記憶の断片が胸に鮮やかに蘇った。 アツシの手が再びコンソールを操作し、船内の全てのエネルギーを武器システムに集中させた。その瞬間、ノクターン号は周囲に眩い光を放ち、敵艦を次々と撃破していった。 だが、勝利の代償は大きかった。ノクターン号はエネルギーを使い果たし、そのまま銀河の裂け目の無限の闇へと漂流していく。静寂が訪れた船内で、アツシは心の奥に新たな決意を芽生えさせていた。 「まだ終わっていない。」 ナナは疲弊した声で呟いた。アツシは彼女に微笑みかけた。 「俺たちはまだここにいる。次の道を見つけるさ。」 銀河の裂け目の中心で、二人は新たな旅立ちを誓う。星屑の中で輝く未来を信じて。


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