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ミステリー航と夏海は海鳴石の謎を解明するために、潮見崎の過去をさらに深く調査することにした。彼らは地元の古老たちを訪ね、過去に起こった大規模な災害についての話を聞き出すことにした。 最初に訪れたのは、町の中心部にある小さな喫茶店だった。そこには、長年町に住み続けている老婦人が経営しており、地元の歴史に詳しいことで知られていた。航と夏海は彼女に災害と海鳴石の関係について尋ねた。 「災害…それは何年か前のことですか?」老婦人は優しい笑顔で答えた。 「はい、具体的にはいつ頃ですか?」航は興味深そうに尋ねた。 老婦人は少し考えた後、語り始めた。「あれは約50年前のことでした。台風が接近し、高潮が町を襲いました。その時、海鳴石の力を借りて町を守ろうとした人々がいました。しかし、完全には防ぎきれず、多くの家族が犠牲になったんです。」 夏海は驚きの表情を浮かべた。「それが、私たちの家族が海鳴石を守る役割を担うようになった理由です。」 老婦人は頷いた。「海鳴石は本当に特別な力を持っていました。潮の満ち引きに合わせて音を響かせ、自然の力を調和させることができると言われていました。しかし、その力を完全にコントロールするのは難しく、多くの犠牲が伴ったんです。」 航は深く考え込んだ。「つまり、海鳴石を封印することで災害を防ごうとしたが、その過程で多くの人々が犠牲になったということですね。」 老婦人は悲しげな表情で頷いた。「そうです。その後、海鳴石の存在は伝説として語り継がれるようになりましたが、実際にその力を利用することの危険性を忘れてはいけません。」 航は夏海の肩に手を置きながら言った。「夏海さん、あなたの家族がその封印を守る役割を担ってきたんですね。」 夏海は頷き、目を伏せた。「はい。私たちの家族は海鳴石を守るために、代々努力してきました。でも、詳細は家族以外には話さないようにしてきました。」 航は真剣な表情で答えた。「もし協力できることがあれば、教えてください。海鳴石の謎を解明することで、町の未来を守る手助けができるかもしれません。」 老婦人は優しく微笑んだ。「若い人たちがこうして興味を持ってくれるのは嬉しいことです。どうか、無理はせずに安全を第一に考えてくださいね。」 航と夏海は感謝の意を示し、再び図書館へ戻った。彼らは集めた情報を元に、海鳴石の封印に関する詳細な手順や、封印がどのように行われたのかをさらに調べ始めた。過去の悲劇を乗り越えるためには、まずその原因を正しく理解することが重要だと感じたからだ。