潮騒のレゾナンス

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ミステリー
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第3章:海鳴石の伝説

航と夏海は早速、海鳴石に関する詳細な情報を集めるために町の図書館を訪れた。図書館の古い文献や地元の歴史書には、海鳴石に関する記述がいくつか見つかった。伝説によれば、海鳴石は海底深くに眠る特別な石で、潮の満ち引きに合わせて自然の音と調和するかのように響くという。しかし、具体的な場所やその存在を証明する科学的な証拠は存在しなかった。 「どうやら海鳴石は単なる伝説だけじゃないようですね。」航は興味深そうにページをめくった。 夏海は頷きながら続けた。「私の家族も昔からその石の存在を信じてきました。代々、守護者としての役割を担ってきたんです。」 航は夏海の家族が海鳴石の守護者であることに気づき、さらに興味を引かれた。「守護者?具体的にはどんなことをしているんですか?」 夏海は少し考え込んだ後、続けた。「海鳴石を守るために、特定の儀式や封印の方法を知っていると言われています。でも、それは家族の秘密でもあり、詳しくは話せない部分もあります。」 航はその秘密に対する興味を抑えきれなかった。「もし協力できることがあれば、教えてもらえますか?この旋律と海鳴石が関係しているなら、何か手がかりが見つかるかもしれません。」 夏海は少し戸惑いながらも、真剣な眼差しで航を見つめた。「わかりました。私も海鳴石の謎を解き明かしたいと思っています。具体的に何をすればいいか、考えてみます。」 二人はその後、図書館でさらに調査を進め、海鳴石に関する古い地図や記録を見つけ出した。地図には、潮見崎の海底にいくつかのポイントが示されており、そこが海鳴石の眠る場所とされていた。具体的な場所は特定されていなかったが、少なくともいくつかの可能性が絞り込まれた。 「これを基にして、実際に海底を調査してみるのも一つの手かもしれません。」航は地図を指さしながら言った。 夏海は少し考えた後、頷いた。「そうですね。でも、海底調査は危険も伴いますし、準備が必要です。」 航は意気込みを見せた。「大丈夫です。音響エンジニアとしての知識を活かして、安全に調査できると思います。」 こうして、航と夏海は海鳴石の謎を解き明かすための第一歩を踏み出した。彼らの協力と探求心が、潮見崎に隠された秘密に迫る鍵となることを、まだ二人は知る由もなかった。


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