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アクションプロローグ――犬と猫の夫婦、その過去と現在 大型犬の「ウルフ」と、小柄な猫の「ミア」は、見た目も性格も正反対。しかし、ある任務をきっかけに出会い、互いの実力を認め合った末に結婚した、珍しい“犬と猫の夫婦”だ。 ウルフはかつて名うての傭兵として世界中の紛争地帯を渡り歩き、数々の修羅場をくぐり抜けてきた。一方のミアは、諜報機関に属していた凄腕のスパイ。優れた情報収集力と身体能力を武器に、数多くの極秘任務を成功へと導いた。 そんな二人が“犬と猫のアクションチーム”として並び立ったのが、極秘任務「オメガコード」の奪取作戦。この作戦は見事成功したものの、ミアとウルフはそこで初めて組織の闇を知る。さらに、危険な存在となった二人に報復の手が伸びる可能性が高いと判断した上層部は、彼らを“退役”という形で保護し、新たな身分を与えた。 平穏な暮らしと異変の前兆 退役後、ウルフとミアは辺境の静かな村で小さな農場を営み、誰にも気づかれずに穏やかな夫婦生活を送っていた。犬らしい力強さを活かし、大きな畑を耕すウルフ。猫らしい器用さで、小物の裁縫や繊細な作業をこなすミア。毎日少しずつ積み重なる幸福に包まれながら、互いにとって初めての“普通の生活”に心から満足していた。 しかし、その幸福は突如として崩れ去る。ある日、村の外れに見慣れない武装グループが姿を現したのだ。彼らは世界的犯罪組織「ブラックコード」の下部構成員らしく、ウルフとミアの元上官が警戒していた謎の集団と酷似していた。おそらく、かつてミアが奪取に成功した「オメガコード」が再び狙われているのではないか――。そう直感したミアは、ウルフに緊急事態を伝える。 しかし同時に、二人の平穏を知る隣人たちが巻き込まれてしまう可能性も高い。ウルフとミアは、自分たちが追われる身であることを隠し通すか、それとも早々に村から立ち去り、組織の目を欺くか、迷い始める。 不可避の戦闘――過去との対峙 結論として二人が出した答えは、「逃げる前に、村人に危害が及ばぬよう対処する」というものだった。夕刻、村人が帰宅して人気が少なくなるのを待ち、ウルフとミアは密かに動き出す。夫婦として平穏を選んだとはいえ、元傭兵と元スパイの本能はまだ色褪せていない。 ウルフは山道を利用し、武装グループを後方から強襲。頑丈な体と圧倒的パワーで威嚇をかけ、一瞬のうちに彼らの注意を引きつける。その間にミアが草陰から忍び寄り、持ち前の敏捷性と暗視能力を活かしてリーダー格の男を拘束。こうして最初の奇襲は成功を収めた。 だが、倒した相手から浮かび上がったのは、さらに不穏な事実。リーダー格の男が持っていた通信端末には「ターゲット発見」「計画通り始末せよ」とのメッセージが記されていた。どうやら彼らは、あくまで先遣隊に過ぎなかったのだ。より大規模な追撃が近づいている――。 ウルフとミアは、これ以上村を危険に晒すわけにはいかないと決断する。そして夜明け前に大切な農場と家を後にし、静かに村を出発するのだった。かつて二人が目にした巨大な闇、「ブラックコード」との対決を再び迎えることを、心のどこかで覚悟しながら。 次回予告 失われた平穏を取り戻すため、再び“クロスバウンド”として動き始める犬と猫の夫婦。彼らを狙う「ブラックコード」の真の目的とは? そして「オメガコード」に秘められた秘密が明らかになるとき、世界は新たな混乱に包まれようとしていた――。 次回は、ウルフとミアが過去の仲間たちを探しながら、組織の動向を追跡。激しいアクションと緊迫感あふれる攻防戦が繰り広げられる。犬と猫の夫婦の活躍は、まだ始まったばかりだ。