成人式の日、川島遥のもとに亡き父からの手紙が届く。「鏡の前で待っている」と書かれた言葉に導かれ、遥は公民館の奥深くで隠された家族の秘密と向き合う。失われた兄・誠の存在、火災に隠された真実。鏡の中に映る父の影が導く先には、家族の絆と再会の奇跡が待っていた――。
三が日の終わり、怠惰な休日を過ごした陽平は、生活リズムの乱れを自覚しつつも、戻す気力を持てずにいた。そんな中、妻の美咲の一言で夜明けを待つ散歩を提案される。凍てつく冬の公園で迎えた新年最初の朝日が、リズムを整えるきっかけとなる。二人は日の出を眺めながら、小さな一歩が新たな始まりになると実感する。乱れた生活からのリセットを描く、ほろ苦くも温かな短編。